リコールとなった「プリウス」のメカニズム
トヨタ自動車ホームページに記載されていた、今回の「プリウス」(3代目)のブレーキ関係のリコール内容。簡単かつ実感の伴わない概念図と、ABSコンピューターの搭載位置を示すだけでは、問題の状況と改修内容は伝わらない。改修はABS制御プログラムの書き換えだけということだから、車速が低い中でABSが作動に入る瞬間の応答を早め、その最初の1~2サイクルのブレーキ液圧減少を抑える、という程度の微修正だと思われる。
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プリウス(3代目)のメカニカルブレーキ系統。これだけであれば、一般的なクルマと大きな違いはない。ただし、ペダルに加えた力が、車輪のブレーキメカニズムまで直接伝わる仕組みではない。(図版:トヨタ自動車「電子技術マニュアル」より)
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同じく現行プリウスの駆動用モーター(右)と、エンジンと動力を「混合」する時にヤジロベエの役割をして力のバランスを変える発電機(左)。その間にある歯車から両側の前輪に駆動軸が伸びる。回生ブレーキをかけるための発電をするのは、駆動用モーターである。(写真:Toyota Motors Sales, U.S.A.)
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現行プリウスの「ブレーキ・バイ・ワイヤー」システムの概要。電動ポンプで油圧(ブレーキ作動液に加える圧力)を作り、そこにペダルを踏む力も加えて、油圧を制御するバルブユニットまで送られる。ここで作られた圧力が、各車輪のブレーキに伝えられる。ABSの作動もこの油圧制御部で圧力を小刻みに増減させる。目標とする制動力を回生ブレーキとどのくらいずつ受け持つか、という判断と制御はブレーキ制御(ABS)コンピューターの中で行われる。(図版:トヨタ自動車「電子技術マニュアル」より)
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現行プリウスのエンジンルーム。この写真は輸出向けの左ハンドル仕様で、向かって右側のピンク色の冷却水が入ったタンクの背後に、ブレーキ液のタンクが見えている。その冷却液は手前の銀色の箱に収められた電気動力のための高電圧電力発生・制御システムを冷やすためのもの。電気抵抗によって発生する熱はかなり大きいのだ。ABS制御コンピューターは隠れて見えないが、改修はトヨタ汎用の車両システム診断器を室内の端子に接続して行う。(写真:Toyota Motors Sales, U.S.A.)
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プリウス(2~3代目)のブレーキ制御、回生ブレーキとメカニカルブレーキ(「油圧ブレーキ」とされている)をどう「混合」するかのイメージ。ブレーキの踏み込み量(「力」ではなく)から、ドライバーが意図している制動の強さを判定し、それとクルマの速度に応じて、まずできるだけ回生ブレーキで『発電』してエネルギーを回収、それで足りない分をメカニカルブレーキで、という考え方が基本。高速側では発電量が過剰になるのと、確実に減速するため、メカニカルブレーキを主用、極低速(といっても時速十数キロメートル以下)では全面的にメカニカルブレーキに切り替える。このあたりの考え方、制御も『進化』した方がいいのだが、10年前に固まった方法論を見直すことはしていない。(図版:トヨタ自動車「電子技術マニュアル」より)
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2006年5月に公表された、ウィッシュ、カローラなどFF(フロントエンジン・フロントドライブ)系小型車のステアリング(操舵)機構のリコール。ステアリングホイール(いわゆるハンドル)の直下に電動モーターによる倍力装置を組み込んだのだが、それ以前の、ステアリングギアボックス(下部に左右に伸びた部品の形で描かれている)の中で左右に押す力を加える油圧パワーステアリングの時に使っていたのと同じ仕様の「インターミディエイトシャフト」を採用。その強度が足りずに、最悪では壊れて舵が利かなくなるケースも発生、当該部品を強度の高いものに交換した。(トヨタ自動車ホームページより)
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