センスが光る言い換え術

●「見てもらえますか」を「お目通しいただけますか」に言い換える

 自分が作った書類のチェックを上司に頼む時、つい「この書類見てもらえますか?」などと言ってしまいがちです。

「お目通しいただく」は始めから終わりまでひととおり見てほしいときに使う敬語表現です。基本的なことが間違っていないかざっと確認してほしいというニュアンスになります。

 

●「チェックしてください」を「ご覧いただけますか?」に言い換える

「チェック」は日常的によく使われる表現ですが、上司にはちょっとぶっきらぼうな響きがあります。

「終わったので、チェックしてください」

 では、あまりにそっけない感じがしませんか?

「書類が整いましたので、ご覧いただけますか」

 と言うと、とても丁寧な印象があり、そんな人が作った書類も、きっと丁寧なんだろうなあ、と期待がもたれます。期待を裏切らないようにしていただきたいと思いますが、この表現で注目してほしいのが「覧」と言う言葉です。

 この字は旧字体では「覽」と書き、3種類の見方を表しているのです。

 右上の「目」を横に倒した部分はしっかり見るという意味です。「臣」の部分は伏せた目を表す象形文字で、臣下が上の者から来た文書などが整っているか見るという見方を表しています。下の「見」は人間がものを見る様子を表し、さらっと見るという見方です。

 ですから「ご覧いただけますか」というのは、いろいろな角度からよく見てほしいという意味が込められているのです。

 このように漢字の意味を知って言葉を選ぶことで、知識も広がります。

 また、書類が完成した時は、「終わったので〜」ではなく、「終了しましたので、提出します」と言い換えてみましょう。提出するのは自分なので、くれぐれも「ご提出します」と言わないように!