前編:割れた腹筋が健康とは限らない?医者が教えるボディメイクの極意
監修=後藤礼司 取材・文=轡田早月 編集協力=永坂佳子
理想は縦にスッと1本筋の美腹筋
前編でお話した通り、大切なのは不健康な見せ筋より、健康的なインナーマッスルです。
例えば、野球の清原選手はホームランバッター。打球を飛ばすためにもウエイトトレーニングで重たい筋肉を増やしました。対してヒットを量産するイチロー選手はワイヤーワークやストレッチでインナーマッスルを鍛えていました。ガッチリ重量のある清原選手は晩年あまり走れず、ケガも増えましたが、体幹がしなやかに引き締まったイチローは故障も少なく、盗塁の名手でした。
サッカーの長友選手は腹筋がバキバキに割れていますが、彼の場合は体幹トレーニングをすることでインナーマッスルも鍛えています。それによってケガが減り、試合に出場する機会が増えたといわれています。
アスリートでなくても、炭水化物の摂取量を極端に抑えて体脂肪を減らせばシックスパックやエイトパックに割れたバキバキの見せ腹筋を作ることができます。
しかし、目指すべきは横に割れた腹筋ではなく、縦にスッと1本筋の入ったほどよく引き締まったお腹です。医学的に見ても、これが最も健康的なお腹といえます。単に痩せているのではない「細マッチョ」もこのタイプです。体幹がシュっとしたボディは、カチッとしたスーツもカジュアルなTシャツもサマになります。男性も女性も、この縦1本筋の“美腹筋”を目指しましょう。
効率よく鍛えるハーフスクワットの正しい姿勢
お腹を鍛えるというと、いわゆる腹筋を思い浮かべる人が多いのですが、お腹のインナーマッスルを効率よく鍛えるには、腹筋よりスクワットがおすすめです。スクワットによってお腹周りの内臓脂肪も燃焼しますし、お尻や太ももの大腿四頭筋を鍛えることで下半身の体幹が整ってお腹が自然に引き締まってきます。
インナーマッスルを息絶えるスクワットは、お尻を近くまで深く落とすフルスクワットではなく、太ももを床と平行にするハーフスクワットでOKです。間違った姿勢では効果が出ないので、下記の正しい手順で行ってください。
ハーフスクワットの手順
(1)まず足を腰幅に開いて背筋を伸ばして立つ。
(2)見えない椅子にゆっくり腰掛けるように徐々にひざを曲げていく。
(3)ひざが爪先より前に出ないようにして、体重が両足の親指にかかるように意識しながら、椅子に腰かけたような体勢でストップ。このとき、お尻を床近くまで下げると腰を痛める可能性があるのでご注意を。
(4)ゆっくりと腰を上げて1の体勢に戻る。
(5)1~5を1セットとして、1日100回行う。一連の動きをするとき、呼吸を止めないこと。