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 ビジネスパーソンであれ、企業組織であれ、ビジネスでは「一回切り」「たまたま」「まぐれ」の成功は通用しない。顧客が欲するサービス・商品を「継続的に」「必然的に」「狙い通りに」提供し続けて、初めて「仕事」といえる。つまり、仕事とは「人の心を捉え続けること」であり、それを実現するために必要なのは、顧客の「真のニーズ」を的確に捉えるためのマインドセットと仕組みづくりだ。本連載は、『いつでも、どこでも、何度でも卓越した成果をあげる 再現性の塊』(田尻望著/かんき出版)から、内容の一部を抜粋・再編集。キーエンス出身の経営コンサルタントが体系化した「ニーズの捉え方」の考え方とノウハウの一端を紹介する。

 第2回は、法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を捉えるために知っておくべき「6つの価値」について解説する。

<連載ラインアップ>
第1回 “仕事ができる人”が捉えている顧客の「ニーズの裏のニーズ」とは?
■第2回 法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を知るために押さえたい6つの価値とは?(本稿)
第3回 人間関係が悪化し、5人の営業が辞めたことで失われた売上を考える意味とは?
第4回 「社内コミュニケーションをよくしたい」の裏に隠された重要なニーズとは?
第5回 「絶対に食いっぱぐれることのない」組織になる方法とは?
第6回  “卓越した成果”を再現し続ける組織は、なぜ「ひし型」になるのか?

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法人顧客の「ニーズの裏のニーズ」を捉えるために知っておくべき「6つの価値」

 ここまでは、BtoCにおける個人顧客の「ニーズの裏のニーズ」について見てきました。

 次に、企業など法人顧客を対象としたBtoBビジネスにおける「ニーズの裏のニーズ」について考えてみましょう。

 個人顧客と同様に、法人顧客にも「ニーズの裏のニーズ」があり、それを的確に捉えることが、ビジネスの成功につながります。

 まずは「法人顧客が抱える基本的な問題」は何か、すなわち「法人顧客が求める価値」について知る必要があります。

「価値」の裏側に「ニーズの裏のニーズ」が潜んでいる。
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 法人顧客にとっての「価値」の裏側に「ニーズの裏のニーズ」が潜んでいるからです。『付加価値のつくりかた』でもお伝えしましたが、もう一度おさらいしておきましょう。法人顧客(企業)が求める価値には、大きく次の6つがあります。

  1. 生産性のアップ
  2. 財務の改善
  3. CSRの向上
  4. コストダウン
  5. リスクの回避
  6. 付加価値のアップ

 これらが法人顧客にとってどのような価値を持つのか、一つひとつ簡単に説明しておきます。

1. 生産性のアップ

「自社の生産性をアップさせたい」というのは、会社の規模にかかわらず、またどんな業種・業態の会社でも重要度の高い価値です。まさに「価値の王道」と言ってもいいでしょう。中小企業でも大企業でも、製造業でもサービス業でも、すべての企業は「現状より、もっと生産性を上げたい」と望んでいます。

2. 財務の改善

 財務の改善も、すべての企業にとって大きな価値になります。財務の改善にはさまざまな方法がありますが、代表的なものは「キャッシュフロー」の改善です。つまり、いつ入金があって、いつ払うのか、そのタイミングをしっかりコントロールできるかが財務の改善につながります。それをうまくコントロールする方法をお客様に提案・提供できれば、それが法人顧客にとっての高い価値となります。

3. CSRの向上

 企業はCSR(企業が果たすべき社会的責任)活動に積極的に取り組み、その取り組みへの姿勢を社内外にアピールすることで「企業イメージの向上」が実現できます。

 重要なのは、企業イメージの向上によって「どんな付加価値が生まれるのか」です。

 CSRへの取り組みが甘いとレピュテーションリスク(風評・悪評の拡大により企業の評価・信用が下がり、損失を被るリスク)が高まり、場合によっては間接的に多額のコストがかかります。CSRに取り組んで企業価値が上がり、いい人材がたくさん集まれば、そうしたコストが削減できます。