大学にも数多くの育成プログラムがある

 だが、企業がこうしたプログラムにコストをかけるのも、裏を返せば、大学からグローバル人材が育っていないことへのいら立ちとも見える。大学ではこうした人材を育てる努力をしてこなかったのだろうか。

 「大学でグローバル人材が育っていないという声があるならば、大学はその声を真摯に受け止めなければならないと思います」

 「しかしグローバル人材の育成は大学にとっても重要課題で、各大学が様々な教育プログラムを用意しているのも事実です。実際にそれらのプログラムを利用して英語力を磨き、海外体験を得ている学生は増えています」

 ちなみに、濱中教授が勤務する東京大学では、海外での就労体験などを盛り込んだ「体験活動プログラム」、入学した直後の学部学生が1年間、国内外でボランティア活動や就業体験活動、国際交流活動などを行う「FLY Program(初年次長期自主活動プログラム)」、高い英語力と強い意欲を持つ学生を選抜し、国際的なリーダーに必要な総合力を養成する「グローバルリーダー育成プログラム」をはじめとする国際力養成のためのプログラムが用意されている。

 また国際活動や学習、体験活動などを行ない一定の条件を満たした学生に、認定証を授与する「国際総合力認定制度(Go Global Gateway)」といった制度も設置しており、学生の後押しをしている。

 「すでにこれ以上何をすればいいのか、というほど教育メニューはそろっているのです」