経済産業省は「なでしこ銘柄」「ダイバーシティ経営企業100選」などの実施により、女性活躍やダイバーシティの推進を後押ししてきた。そこで見えてきたのは、中堅中小企業でますます深刻化する人材不足だ。経済産業省の古谷野義之氏も「深刻な人手不足の時代が到来、女性活躍及びダイバーシティ経営が急務です」と、力を込める。

経済産業省 古谷野義之氏

 「生産年齢人口はピークの2005年を境に年々減少し、人手不足が恒常化していることが分かってきました。まさに、求職難から求人難の時代へシフトしようとしているのです。しかしこのことは企業を変えていくチャンスとも考えられます」(古谷野氏)

 人手不足感が解消されない中での「求人難」型の倒産が、が2017年(1~12月)では前年より2倍増で推移している(※)。

 人手不足への対応策として古谷野氏が挙げたのは2点。

・女性、シニア、ミドル、外国人など、多様な人材の活用に目を向け人材を確保すること
・IT導入、設備投資、人材育成等により、1人あたりの生産性を高めること

 実際ダイバーシティという言葉の概念は分かるが、企業単位に落とし込んでいくことが難しいという経営者も少なくない。こういった環境を作り、多様な人材活用を継続するにはどうしたらよいのだろうか?

 「人手不足対応の最初のスリーステップとして、中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドラインがあります。こちらは人材募集や職場環境を見直す際に、参考になるのではないでしょうか」(古谷野氏)

(出典)中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン ※中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会とりまとめ(平成29年3月)

 持続可能なダイバーシティのために経営者と現場双方が取り組み、さらに社外とのコミュニケーションを進めることで、取り組みのサイクルを循環させることが重要だという古谷野氏。「このことが結果的に、企業そのものを強くするということに繋がるのです」と結論付けている。