2018年に製品登場予定のEnOcean Long RangeとWeightless-P

 注目を集めつつある後発組LPWAをあと2種類みておこう。一つは「EnOcean Long Range」である。

 最大の特徴は、ソーラーパネルなどを用いた「エナジーハーベスティング」と呼ぶ技術によって、電池を交換することなく長期間にわたりセンサーネットワークを稼働させられる点にある。エナジーハーベスティングは振動や光、熱など環境に存在する微小なエネルギーを電力に変換することから、環境発電とも呼ばれる。

 EnOcean Long Rangeは元々、エナジーハーベスティングを採用した無線による狭域センサーネットワーク「EnOcean」としてドイツで生まれた技術である。その後、送信出力をEnOceanの1mWから10mW/20mWに増強する一方で通信速度を1kbps程度に抑えるなどの改良を重ね、2017年に通信距離を長くした。見通しのいい場所なら3~4km(最大6㎞)の距離で通信できる。ビルが林立する都市部でも、300~400mの通信が可能だ。

 EnOcean Long Rangeの用途は幅広い。例えば、温度や湿度など様々な自然環境の変化を可視化する農業IoTの用途での実証実験が行われており、その結果を踏まえた商品が2018年に登場予定だ。農場では電源の確保が難しいので、エナジーハーベスティングが生きる。広大な農場を管理するIoTの無線センサーネットワークとして、EnOcean Long Rangeに対する期待は高まっている。

 もう一つが「Weightless-P」である。英Weightless SIGが2015年に仕様を策定。台湾のユービックが技術開発を推し進めているのと同時にSIGによる標準化を主導しており、2018年に量産製品の提供を開始する計画である。

 Weightless-Pは、LoRaを超える下り最大100kbpsの通信速度と、同時接続数の多さが武器だ。下りの通信が速いのは、IoTデバイスのファームウェアの更新(FOTA:Firmware Over/On-The-Air)がスムーズに行えるという利点がある。この利点を生かせる用途として、工場内の複数の設備を制御するファクトリーオートメーション(FA)や、スマートシティが見込まれる。

 Weightless-Pの無線センサーネットワークは、電池交換せずに5~10年間運用できると言われている。また、2G携帯電話網の基盤技術であるTDMA(Time Division Multiple Access)/FDMA(Frequency Division Multiple Access)をベースに、搬送幅12.5kHzの狭帯域通信や周波数ホッピング、高度な電力制御技術などを採用することで、携帯電話網と同等の高い通信の信頼性を実現する。