働き方を180度変えた5つの「条件」

——完璧なポジションとは?

ベッツィー わが社のコーチングのコンテンツには、私の専門である心理学の要素が必要ですし、マーケティング、プロデュース、コンサルティング、それに、マネージングと、これまで自分が関わってきたキャリアが全て集まったような役職のように思えました。

——それで復帰することを決心されたのですね。

ベッツィー いえ、実は何度も「ノー」と言ったんです。また以前と同じようにバーンアウトするのが怖かったですし、戻れば仕事に打ち込みすぎることはわかっていましたから。でもビルは「限界まで働かなくても仕事はできる」と言いました。「大切なのは『境界線』を引くことだ」と。最初は私も意味がわかりませんでした。「とにかく何ができて何ができないか。どうすれば働けるか教えてくれ」と言われて。そこで夫と一緒に、働く条件のリストを作ったんです。

1.ユタ州のオフィスではなくミネソタ州の自宅で仕事をしたい。
2.子どもたちが帰宅する午後2時半から3時半までは仕事をしない。
3.必要に応じて出張はするが、調整に対しては私が権限を持ちたい。
4.出張に子ども達を連れて行きたい。
5.家にいる場合午後6時以降は家族の時間なので仕事はできない。

——これだけの条件を受け入れてくれる会社もなかなかないと思います。それだけあなたの能力をアダムス氏が買っていたということでしょうか。

ベッツィー 今思っても無謀なリストで、絶対に受け入れられないだろうと思いました。まず、自宅があるミネアポリスを離れる気が無かったから、難しいだろうと。でも、ビルはもちろん、他の経営陣たちもOKを出したんです。夫と2人で信じられない気持ちでした。

 わが社にはもちろん他にも女性社員はいますが、私が入社する前は、ここまでのフレキシビリティはなかったので、ある種の機会を開くことにはなったのかな、とは思っています。

 ただ、もちろん、私はマネジメントの立場なので仕事の種類としてこれが可能ということがあります。同じくマネジメントやコンサルティング部門にいる人は、かなりのフレックス制を許可されていて、基本在宅でテレワークをしているものもいます。ただし、カスタマーサービスとしてユタ州のオフィスに常駐し、お客様対応をしなくてはらないスタッフはやはり一定の時間は拘束されてはいます。ケースバイケースです。

——でもこの条件を出したおかげで、あなた自身の働き方も、社内の働き方も改革された、ということですね。

ベッツィー それは本当にそうです。実際息子たちを連れて出張に行き、ホテルの庭で遊ばせているのを見ながら、重役会議をすることも、もはや普通の光景になりました。ありがたいですね。海外出張などは毎回連れて行けるわけではありませんが。