チームマネジメントをテレワークで行う

——オフィスに常駐せず、働く時間帯も限られる中で、良い仕事をし、成果を出し、それを企業の利益につなげるために、どのようなことをされていますか?

ベッツィー それがまさに一番大切なことです。まずは管理職として、常にチームの関係性をよくするための努力は欠かせません。スカイプミーティングを頻繁に行い、部下とは仕事以外でも密にコンタクトをとって関係を深めています。結局はその方がうまくいくんですね。

 クライアントとの関係性ですが、これはコーチングという業種特有の利点があります。つまり、マーケティングなどと違って、設定したゴールに向かうために必要なのは個人の仕事の時間や量ではない、ということです。目指す方向性、結果を出すために必要なのは、クライアントの能力を引き出すことをすればいい。これは部下に対しても同じです。

 あとは、それぞれが仕事をすることで成果が出てくれば、それが私自身の成果になり、我が社にとっての利益にもつながります。ビジネススキルを最低限の努力で身につけ、仕事の質を向上させることはできる、と常々クライアントには伝えています。大切なことは時間ではなく、人と仕事に向き合う密度です。

——なるほど。しかしそうは言っても、あなた自身、多くの責任と仕事を任されているのでは? 時間が足りないと感じるとはありませんか?

ベッツィー 気がつけばいくらだって仕事はできてしまうんです。だからこそ意識して境界線を保ちバランスを取ることが大切です。常に計算をして、プライベートと仕事時間のベストバランスを自分に問いかけています。IoTも使い、カレンダーを秘書と共有し、家族の予定を含めて、プライベートで必要な時間は先にブロックしておくんです。そして限られた時間には集中する。イレギュラーも当然ありますが、その時も自分できちんと選択する、という意識は常に持っています。働く人は誰でも、自分で働き方を連続的に選択していく必要があるのです。

個人の仕事量増加よりチームの質を上げる

——プライベートを守りつつ仕事の質を上げるとは。

ベッツィー 仕事の質を上げるというと、個人の仕事量を増やすということと思われがちですが、そうではありません。現在は人々の環境も複雑化しています。変化は常に訪れ、ビジネス状況も不確かです。その中でバランスをとるにはチームワークが肝心なのです。ともに働く人のエネルギーや貢献度を引き上げることで全体的にもっとスピーディに動き、変化に対応することができる。それがクリエイティブなリーダーというものです。そのことを私自身が実践し、世界中のエグゼクティブたちに伝えているのです。

 あ、すみません、今夫からチャットが入って、夕飯ができたからすぐ電話を切るように、と言われました。これくらいでいいかしら?(笑)。

——はい、わかりました(笑)。急いでお子さんのところに行ってあげてください。今日はありがとうございました。

ベッツィー 最後に。日本のクライアントや日本オフィスで働く女性たちを多く見てきました。彼女たちは本当に頑張っています。家でのことも仕事も完璧にやろうとしています。でも、家でも同じです。パートナーにもっと頼っていいんです。大切なのは、あなたがどういう人生を送りたいか、どういう仕事をしたいか、どういう母親になりたいかを決める境界線を引くこと。そして、家庭内、外両方のチームのバランスをとることです。

 

 次回は、彼女が自信を身につけたタイミングで、共同パートナーとして仕事に誘った、TLCの創設者、ウィリアム(ビル)・アダムス氏に、経営者の観点から、ワーキングマザーを雇用する利点、デメリットについて聞いていく。
 

※The Leadership Circleは独自の360度フィードバックシステムを使って、リーダーシップを向上させる資格認定プログラムの実施やコンサルティングを行う。アメリカ、ユタ州の州都ソルトレイクシティに起き、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、南米、アフリカなどなどにオフィスを持つグローバル企業。日本にもプログラム提供企業として、インターナショナルパートナーオフィスを所有する。株式会社ウエイクアップ:http://www.theleadershipcircle.jp/