「改善ではなく改革なのだ」と経営層がメッセージを発することはよくあるが、議論を重ねて練り上げていく過程でメッセージが薄れていくことも多く、最終的に具体的な進め方は組織メンバーに委ねられる。

 ここで組織マネジメント層が経営層のメッセージを受けて咀嚼し、現場へ展開するのであればよいが、マネジメント層はメンバーの活動をお膳立てして成果について評論するだけという、残念なケースも見受けられる。このような状況のなかで、誰が本気で働き方をより良くしていこう、変えていこうと思うだろうか。

 働き方を変えていくと、今までの仕事のやり方、振る舞い、考え方、仕事に対して抱いている常識を否定することになる。ある意味、今までの自分の人生を否定することになるとも言える。このような真剣な改革実践活動に対して、小手先の改善でごまかしてよいのだろうか。

 働き方改革とは、言ってみれば今後の生き方をデザイン(設計)していくことである。将来に目を向けて、組織、チーム、自分自身がどうなりたいかをイメージしなければ改革に着手することはできない。将来に目を向けて目指したい状態を描く、真剣なビジョニング(将来を描く、語る、実践する力)が必要である。

「改革チーム」が働き方改革を促進する

 ビジョニング(将来を描く、語る、実践する力)は、きわめて難易度の高い力である。だからこそ、模範となる存在が必要になる。

 働き方改革のビジョン(目指す姿)を描く模範となるのは、組織のマネジメント層以上のメンバーだ。そのメンバーたちが想いを言語化し、行動で示すことで模範となる。