大手住宅メーカーはもちろん家電メーカーや通信業者、スタートアップなど、さまざまな企業が参入するスマートホーム業界は、IoT時代において、より大きな発展が期待されている産業だ。

しかし、世界と比べて日本の住宅はスマート化が遅れているといわれている。国内スマートホーム業界の発展を阻む大きな要因ともいえるのが、メーカーによる自社製品ユーザーの囲い込みだろう。日本企業は縦割り文化が浸透しているため、国内で販売されているスマートホーム製品は、メーカーごとに自社製品のみでつながるものが多い傾向にある。

今回は、国内メーカーの枠にとらわれず海外のシステムを採用することにより、汎用性の高い一括制御を可能にしたスマートホーム事業を展開する「ハナムラ」のCEO花村勇臣氏(以下、花村氏)に話を聞いてみた。

新宿ショールーム

インテリアとITを融合させた壁面システム「GLAS LUCE」

現在、ハナムラを代表する製品といえば、インテリアと映像、そしてITを融合させた「GLAS LUCE(グラスルーチェ)」だろう。GLAS LUCEは、室内インテリアのトーンを壊しがちなテレビなどのモニターを特殊なマジックミラーによって隠し、スイッチを入れると空間を美しく演出する映像が現れるハイエンドな壁面システム。現在は一般家庭のほか、高級ホテルやショールームなどのラグジュアリーな空間にも採用されている。

もともとはインテリアデザインの事業を営んでいたという花村氏だが、スマートホーム事業に参入したきっかけを聞いたところ、GLAS LUCEからの延長がきっかけだったと語る。

「GLAS LUCEを開発したことによってTVやセキュリティカメラ、デジタルフォトフレームなど、リビングにあった複数のモニターは存在を消すことができました。しかし、テーブルの上にはたくさんのリモコンが残っていたんです。なんとか一つにまとめられないかと考えていたところ、iPod Touchが世の中に登場し、アプリによって住宅内設備のコントロールが可能な時代となりました。これを機に、わが社でもスマートホーム事業への参入を決めました」

ハナムラ CEO花村勇臣氏