梨狩りにいったときの風景を思い出すと、広い敷地に大きな木が育っていて、人の背丈より少し高い棚いっぱいに枝が巡らせてあって、そこに葉が茂り、実がぶら下がっている——というのが普通だと思う。写真1は、このような伝統的な方法で栽培している梨だ。木1本が覆う面積は50平方メートルから100平方メートルにもなる。 だがこれだと、農家はずっと上を向いたまま剪定や収穫の作業をしなければいけないので、くたびれる。それに何より、木を大きく育てるまでの間、収穫量がなかなか増えない。収穫量が本格的に増えて安定する(成園という)までに10年もかかるという。 リンゴなど他の果樹については、枝が勢いよく伸びなくなる矮性(