野菜種子メーカー、日本農林社の本社は東京・北区の滝野川にある。江戸時代、滝野川は街道の要衝だった。 大名が参勤交代をするようになると、諸藩は地元の野菜を江戸屋敷に植えた。また江戸で手に入れたタネを藩に持ち帰り植えてみた。東京には全国のタネが集まり、交換された。 こうして全国規模で農業試験が大々的に行われるようになった。商人や庶民も篤農家も、全国を旅してタネを売買した。そこで中山道の入り口にある滝野川には種問屋が20軒も連なったという。 日本農林社もそんな種問屋にルーツがある。今回は茨城県にある阿見研究開発センター(阿見町)の農場見学に伺った。江戸東京野菜の第一人者であり、都内の篤農家と親交の深