39人。 人口減が進む地域の状況を対外的に説明する時、この数字はとてもよく伝わる。ここ、岐阜県本巣市の山あいにある小学校の全校生徒数だ。前年度の44人から5人減り、今年度はいよいよ30人台に突入してしまった。「小学校1クラスを40人から35人に」と改正された義務教育標準法が、「どこの国のできごとですか?」というふうにさえ感じる。 そんな地域で暮らし始め、半年ほどが経った2021年秋。我が子のクラブ活動で訪れた週末のとあるグラウンドで、一人のお母さんにこう声をかけられた。「子どもの勉強を見てくれる塾があるといいんだけど。やらない?」 教育にかかわるということは、それまで想定したことすらなかった。