世界のビジネス必須項目 サステナビリティ
長期的視野、ステークホルダーとの共創を軸に

Lawyer’s eyes(法律事務所の新提言) グローバルビジネスの指針 vol.3
2021.6.15(火) JBpress follow フォロー help フォロー中
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井田美穂子氏は、事務所の環境チームにも所属。世界各地のメンバーと最新の環境問題について日々情報交換を行っている。
ベーカーマッケンジーが考える「企業がサステナビリティを取り入れるために必要なこと」は、主に10項目。明確で達成可能な目標及び効果的な評価尺度を確立したうえで、経営陣、マネジメントの関与と支援、リーダーシップを確保すること。そして、会社全体で漠然とした方針のみを策定するのではなく、部門ごとの役割を設定して部門相互に協働することが大切だ。研修やリスク管理などはサプライチェーンも対象とし、投資家を含むステークホルダーに対しては明確なコミュニケーションを提供し、正確な開示を行う。法的リスクのみならずレピュテーションリスクも考慮し、定期的な見直しを実施しておきたい。
ベーカーマッケンジーは、国連地球サミットにて創設された持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)に2017年に参加した最初の国際法律事務所。前述の通り、SDGsを事業戦略の中核に組み入れており、1,400人以上の内外ステークホルダーに向けた調査に基づき、「インクルージョン&ダイバーシティ」「従業員としての働きやすさ」「人権」「気候変動への対応」をはじめとする、16テーマを優先事項として打ち立てている。
再生可能エネルギーのスペシャリストである玉川雅文氏は、主に国内に本社を構えるグローバル企業をサポート。ファイナンス面にも強く、数々のファイナンス組成に携わっている。
自然エネルギーの割合が80%近くに達しているオーストリアや、変動する自然エネルギー(風力および太陽光)VREの割合がすでに55%に達しているデンマークをはじめ、欧州では年間発電電力量における再生可能エネルギーの割合が高い。また中国もこの10年間で、再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいる。一方、原発の比率が70%近くに達するフランスと日本は、自然エネルギーの割合が20%程度に留まっている。(出所:Agora Energiewende, China Energy Potal, 電力調査統計などのデータよりISEP(認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所)作成)
2017年時点で水力発電が約6割を占め、再エネ発電比率が65.6%と突出しているカナダのほか、欧州の多くの国が再エネ発電比率30%を超えている。また、再エネ導入が急速に進んでいる中国も25%に達している。一方、フランス、アメリカ、日本(2018年時点)は20%未満と、後れをとっている。(出所:資源エネルギー庁)
2014年には約12%だった自然エネルギーの割合が、毎年1ポイント程度ずつ増加し、2020年には20%以上に達した。なかでも太陽光発電の発電電力量は、前年(2019年)の7.4%から8.5%へと増加した。バイオマス発電(3.2%)は前年から2割程度、風力発電(0.86%)は前年から1割程度増加。地熱(0.25%)および水力発電(7.9%)も前年からわずかに増加している。(出所:電力調査統計などよりISEP(認定NPO法人 環境エネルギー政策研究所)作成)
菅首相の「2050年カーボンニュートラル宣言」実現のためのカギとして期待される洋上風力発電。2019年に施行された再エネ海域利用法に基づき、国が洋上風力に適した一般海域を「促進区域」として指定し、公募によって選定された事業者が、促進区域において最大30年間の占用許可を得て洋上風力を実施する仕組みだ。
現在、秋田県の由利本荘市沖・能代市、三種町及び男鹿市沖、長崎県の五島列島、千葉県の銚子沖の4カ所が促進区域に指定され、公募手続が進められている。
ベーカー&マッケンジー法律事務所は2022年に日本開設50周年を迎える。 「私たちが重要事項として選択しているSDGsの17番目の目標である『Partnerships for the goals』。今後もサステナブルな事業を推進し、お客様とともに世界での挑戦を続けていきたいと考えています」(井田氏、玉川氏)
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