「引きこもりとか持病とか、結構、暗黒の十数年を過ごしてきましたけど、こうして1冊書き上げたことで、俺の人生はマイナスからやっとゼロになり、ここからプラスへの道が始まるな、やっとスタートラインに立ったな、っていう感慨がありますね」 出版社から企画書が来て、およそ2週間半後には第一稿を書き上げていたという本書『千葉からほとんど出ない引きこもりの俺が、一度も海外に行ったことがないままルーマニア語の小説家になった話』(以下『千葉ルー』)は、頭から終わりまで疾走感あふれる筆致が怒涛のごとく続き、読む者を引きつけて離さない。 1992年生まれの済東鉄腸は、30年間、千葉で実家暮らし。「考えすぎ人間」が高じて