三菱マテリアル株式会社 CIO システム戦略部長 板野 則弘 氏(写真右)
レノボ・ジャパン合同会社 執行役員副社長 安田 稔 氏(写真左)

進むIT環境の再構築、ガバナンスとシナジー両立のために

 150年以上の歴史を持つ非鉄金属メーカーの三菱マテリアルは、ガバナンス強化と組織能力の強化を見据えた経営改革を行ってきた。DXにおいては、6年で400億円超をかけるプロジェクト「MMDX(三菱マテリアル・デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション)」を推進している。

 これらを下支えするグループ内のIT環境においても、改革を実行中。その取り組みを率いるのが板野氏だ。同氏が目指すのは、ガバナンスとシナジーを両立したIT環境の実現だという。

「IT環境を整備してガバナンスを高めたとして、それにより従業員が働きやすくなり、シナジーが生まれなければなりません。『ガバナンスがあって良かった』と感じる環境、従業員がハッピーになれる状況が理想です。あくまで中心は現場で働く“人”なのです」

三菱マテリアル株式会社 CIO システム戦略部長 板野 則弘 氏

 こうしたビジョンに向けて、同社はさまざまな取り組みを進めている。そのひとつが、社内ITにおける共通部分と個別部分の線引きを明確にすることだった。つまり、共通でデバイスやシステムを入れる領域と、組織ごと個別最適化していく領域をはっきりしようと考えた。

「たとえば従業員の使うPCは、なるべくメーカーや機種を統一して共通化した方が良いと考えました。それまで社内では、複数にまたがるメーカー・機種のPCが使用されており、その分、管理やアップデートの作業が煩雑だったのです」

 このような課題感から、PC環境の再構築に乗り出したという。そうして外部からの提案を積極的に聞いていった。「当社は今まで自前でIT環境を整備してきた歴史があります。しかしこのタイミングで、外部だからこその新しい気づきや視点を取り入れられればと思いました」と板野氏は話す。

ワークショップをもとにレノボが提案した「課題解決」の手段

 外部からの提案を聞く中で行き着いたのが、レノボのソリューションだった。今回、三菱マテリアルが導入したのは「レノボ デジタル・ワークプレイス・ソリューション[RM1] (DWS)」というもの。企業がPCなどのデバイスを導入する際、製品の選定から初期設定、運用管理、廃棄まで、ライフサイクルを一気通貫でレノボがサポートする。

 このソリューションを導入した経緯として、最初にレノボが行ったワークショップがあったという。安田氏がその内容を説明する。

「ワークショップ形式で三菱マテリアルのPC管理における課題を洗い出していきました。デバイスの導入や管理など点と点ではなく、PCのライフサイクル全体を俯瞰し、課題や改善できる部分を考えていったのです」

 そうして浮き彫りになった課題をもとに、レノボから具体的な提案を行った。まずは従業員の働き方をもとにした体験を大切にしながら、使用するPCの機種を絞り込むことだ。安田氏は「管理の負担が減り、ガバナンスが向上するのはもちろん、導入時の販社やルートもシンプルになります」と効果を伝える。現在はメーカーをレノボに統一し、機種も3つにしたという。

レノボ・ジャパン合同会社 執行役員副社長 安田 稔氏

「そのほか、導入時のキッティング(※初期設定やソフトウェアのインストール作業)もレノボで行うことを提案しました。こういった作業は私たちが担い、三菱マテリアルのIT部門の方は付加価値を生む業務に集中していただきたいからです」(安田氏)

 さらにPCの導入・管理コストの低減や、ITにおけるファイナンスの最適化も提案。具体的には、各種費用のサブスクリプションモデル化を行った。板野氏は、この提案が「DWSの導入を決断する一番の決め手になりました」と振り返る。

「今回特に大きかったのは、トータルコストの低減を実現できる点です。サブスクなどにより目に見えて費用が削減されました。導入までのリードタイムも、メーカーの統一による購買経路の集中やキッティングの代行により大きく短縮されています」

 なお、このほかにDWS導入を決めた理由として、板野氏は、レノボが三菱マテリアルと同じくグローバルでビジネスを展開し、知見を有していること、製品のバッテリー性能が高いことなどを挙げる。また「コロナ禍にレノボが見せたPC供給力の高さも印象に残っています」と話す。

 DWS導入によってコスト面や管理面のメリットが生まれるのはもちろん、何よりも「PCを使う従業員の作業環境が良くなることを期待している」と板野氏は考える。メーカーの統一などによりガバナンスを高めるだけでなく、人の働きやすさを生み、シナジーへとつなげることが目的なのだ。

 さらに今回、三菱マテリアルではレノボの提供するPCのCO2オフセットサービスも採用した。これは、レノボのPCを導入する際、PCの製造や出荷で生じたCO2排出量と、利用期間中のCO2排出量をあらかじめオフセットして機器を提供するもの。三菱マテリアルでは「サステナブル」という言葉が流行する前から、CO2削減の取り組みを進めており、このサービスも大きな魅力であったという。各PCにはオフセット証明シールが貼られており、「今後、三菱マテリアルでこのシールが貼られたPCが増えていきます」と安田氏は話す。

 三菱マテリアルのIT改革はまだ道半ばであり、「まずは明確な効果の出る部分から始めていった」と板野氏。もちろん今後も取り組みを続けていく。レノボとしても「使用したPCの廃棄やデータ消去の対応なども提案していきたいと思います」と安田氏は話す。

AIとサステナビリティに対する両社の姿勢、新たな動き

 両社の取り組みは以上の通りだが、これからのITを考える上ではAIも重要なテーマになる。こちらについて2人の考えを聞くと、安田氏は「2024年はAI活用が本格化する」と話す。

「これまでのAIは、クラウド上やデータセンターでの実行が前提でした。しかし今年は、AIを搭載したPCなど、ローカル端末でAIの活用が進むようになるでしょう。背景には、NPUと呼ばれるAI処理に適したハードウェアエンジンの進化があります。レノボのThinkPadでも、NPUを内蔵した製品を2022年を皮切りにリリースしており、ThinkPad X1 Carbon Gen 12など、3月に発表したインテル® Core™ Ultra プロセッサー搭載の最新シリーズでは更に多くのラインナップで利用いただけるようになりました。もちろん、ファームウェアレベルでの遠隔制御や追加のセキュリティなど、IT部門の生産性や場所を問わないガバナンスの担保に貢献するIntel vPro® プラットフォームにも対応可能です。」

ThinkPad X1 Carbon Gen 12

 一方、AIの観点で板野氏が注目するのは“人の役割”だ。「AIは人の作業を置き換えると言われますが、むしろ人の役割がより重要になると考えています」という。

「生成AIにより、これまで見えなかった事実が可視化されていきます。ビッグデータ分析や今までアクセスできなかった情報を簡単に取得できるからです。しかし、これらの可視化された事実を用いて、次のアイデアを考えるのはあくまで人です。AIの活用は、むしろこうした人の役割を加速させるでしょう」

 だからこそ、レノボのような企業がAIを活用する環境を整えた上で「私たちはその先を担う人を育てなければならない」と板野氏は言う。

 これからを考える上ではもうひとつ、サステナビリティも企業の重要テーマだ。両社はこの領域に早くから力を入れてきた。レノボは先述したPCカーボンオフセットなどの取り組みを、三菱マテリアルは金属の回収までを見据えた資源循環のバリューチェーン構築に力を入れてきた。

 その中で、今後の取り組みについてどう考えているのか。安田氏はこう語る。

「レノボは2050年のネットゼロをターゲットに、経営の最優先事項として持続可能性への対応を進めています。たとえば当社の製品においても、再生由来素材やプラスチックフリーのパッケージなどを採用したものをリリースする予定です。そのほか、AI利用の普及により、世界的な消費電力の増加が懸念されていますが、レノボでは独自の水冷テクノロジー『Lenovo Neptune』などにより、AI時代に求められるパフォーマンスと電力効率を両立する技術も開発しています」

 板野氏も、三菱マテリアルがサステナビリティを推進していくのはもちろん、IT部門がその営みをサポートしていきたいと考える。

「カーボンニュートラルを達成するために、今後はカーボンフットプリントが重要になります。われわれ非金属メーカーも、各製品の排出量を明確に計測する必要があります。これはIT無しではできません。その仕組みづくりに貢献していければと思います」

 AIにサステナビリティ。これらの取り組みを今後進める上でも、板野氏は「自分たちだけで行うのではなく、外部の力を借りながら解決していきたい」と話す。

「新しいチャレンジをする上で、自分たちでできることには限りがあります。レノボはグローバルでビジネスを展開しており、世界各国の知見を持っています。海外を知っているからこそ、日本企業の強みも弱みも理解しているはず。それをもとにアドバイスして欲しいですね。顧客の関係ではなく、戦友として歩みを進められればうれしいです」

 その言葉を受けて、安田氏も「レノボにはグローバルのベストプラクティスや知見が蓄積されています。それらを還元しながらサポートしていければと思います」と答える。

 三菱マテリアルとレノボによる今回の取り組み。両社が手を取り、戦友として生み出した成果が、ITのガバナンスとシナジーを両立する土台になっていく。

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