〔アプローチ1〕身近な課題解決でDX化を推進する

 1つ目のアプローチはトライアングル最下層の「Ⅰ.課題解決領域」である。このアプローチでは現場の身近な改善をDXツールで活性化できないかと考え、試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返しながらスモールスタートで行う。DX化のエントリーモデルといえる。

 上層部から「ウチの工場のスマート化を考えろ」と指示を受けて失敗する場合の多くは、世の中の便利ツール探しから始めるケースであり、この場合、“何を実現したいか”を先にイメージし、そのためのツールを選定する思考プロセスが重要である。

 そこで、JMACで提唱している「IoT7つ道具」のフレームワークでは、正しい思考プロセスによるアプローチを体系的に整理している。

L(位置:Location)人やモノを追跡
 人・モノ・荷役機器などの所在や導線把握
O(作業:Operation)人の働き方に注目
 作業や動作の認識・測定
S(場面:Situation)その瞬間を記録
 不良や故障など発生時の状態・状況把握
C(数量:Count)自動で数え上げ
 出来高・不良・仕掛在庫などの数量把握
H(危険:Hazzard)危険をナレッジ化
 危険場所警告や不安全行動の認識
A(稼働:Availability)レトロフィット
 設備や機器の稼働・不稼働把握
Q(品質:Quality)スマート品質記録
 品質測定や品質状態の把握