筆者の周辺でも「働き方」は一部で劇的に変ってきた。

 「早朝から深夜まで働く」ことで有名な財閥の中堅幹部A氏。

 週明けには、「午前3時半に出社した」。というのも、月曜日には、社長が6時半か7時から会議を開く。その準備に常務が5時半までに来る。その準備に、さらに早く来るというわけだ。

 月曜日以外でも、5時半に出社していた。帰りは、夜10時なら早い方だった。ところが、年初に「働き方を変えろ!」という強い指示が出た。

 韓国企業は、極端から極端に動く。

 「週52時間は絶対条件。いまは朝9時に会社に行って、6時には会社を出る。とにかく、入退館の際やパソコンに長時間勤務の記録を残すなということになった」

 摘発を恐れているのだ。

 A氏は「業務量はもちろん減った。会社の競争力に影響が出るのかどうかは分からないが、いまは、とにかく、週52時間を守れという指示は最優先だ」と言う。

狙いは良いが経済が萎縮しては・・・

 文在寅政権は、労働者の待遇改善と労働の質の向上を目指して「所得主導成長論」を掲げている。最低賃金を2018年には一気に16%引き上げた。さらに「週52時間制度」の導入だ。

 趣旨に賛同する声は少なくないが、実際の効果となるとなかなか見えてこない。

 週52時間制度の導入で、「長時間労働」は確かに解消できるだろう。管理職やホワイトカラーからは反対の声は少ないが、工場など現場で働く労働者からは「手取りが減る」との不満は多い。