日本の大企業で萌芽段階のアイデアが潰される理由

既存の物差しを当てはめて「目標管理」してはいけない

木谷 哲夫/2018.5.4

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 萌芽段階の新規事業アイデアは、目標管理を最重視する思考によって矮小化され、潰されてしまう可能性がある。未来は誰にも分からない。今の時点の常識で先端的な技術開発を過早に「評価」してしまうと、ユニークな可能性、凄さを見逃してしまうかもしれない。萌芽段階にあるアイデアを実現させて新規事業を成功させるために、目標管理よりも大切なものとは何か。

「目標設定思考」が新規事業開発を矮小化させる

 なぜ日本の大企業は資金も人材も豊富なはずなのに、新規性の高い技術開発や社内ベンチャーの育成が得意ではないのか? この問題については、甲論乙駁、いろいろな説が入り乱れている状態です。

 私の意見は、「組織に染みついた『目標設定思考』や『評価』のマインドセットが、クリエイティビティ―を早期に腐らせる結果となっているのではないか?」ということです。

 一例を挙げると、ある大学でオープンイノベーション推進の一環として企業との共同研究プロジェクトを複数同時に走らせていたのですが、それらのプロジェクトは、売上目標、開発期限、マイルストーン管理など、家電業界の新商品開発プロジェクト管理手法がそのまま持ち込まれていました。しかし、ドライヤーの新製品を期限通りに店頭に並べるためのプロジェクト管理と、萌芽段階の先端技術開発プロジェクトの進め方が同じであっていいはずはありません。

評価するのではなく、洞察し理解する

 目標設定思考の典型的なものに「SMART」という目標設定のフレームワークがあります。SMARTの内容は以下のとおりです。