世界最大の動画共有サービス、YouTube。気が付けば毎日YouTubeのアプリを開き、何かしらの動画を見ている読者も少なくないのではないだろうか。また誰でも簡単に動画をアップロードできるため、素人であってもいつでも視聴者から配信者になることが可能だ。

動画配信者の中には、自身がアップロードした動画が再生される際に得られる広告収入で生計を立てる「YouTuber(ユーチューバー)」なるものも現れた。彼らの中には芸能人やアイドル以上の人気や影響力を持つ者も現れているのは、周知の通り。

若者は特に、日常的にインターネット動画サイトを視聴している。

総務省 情報通信政策研究所が発表している「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の「インターネットの利用項目別の利用時間」で最新数値を見ると、全年代が休日に「動画投稿・共有サイト」を見る平均時間は21.9分。「ソーシャルメディアを見る・書く」、「オンラインゲーム・ソーシャルゲームをする」に続いて3位という結果だ。

さらに10代に至っては、平日も休日も動画サイトの視聴が「ソーシャルメディアを見る・書く」に続いて2位。平日の平均は38.9分、休日は62.2分と日常的に長時間、動画共有サイトを視聴していることが分かる。
20代に関しても休日平均は50.6時間と、一時間近く動画共有サイトを視聴しているという結果に。

言うまでもないが、この「動画共有サイト」の筆頭はYouTube。中には「音楽はYouTubeで聴けるから、CDは買わない」という若者もいると聞く。良くも悪くも、若年層にとって日常生活に欠かせないサービスになりつつあるということだ。

そんなYouTubeの「今」を見ながら、今後について考察していく。

GoogleのサービスとしてのYouTube

2006年10月9日、YouTubeは16億5000万ドルでGoogleに買収された。正式にサービスが開始された2005年12月から一年もしない内に、Google傘下となったのだ。以降、YouTubeというブランド名はそのままに、Googleが提供するサービスの一つとしてアップデートされ続けて今に至っている。

Googleの収益といえば、そのほとんどが広告収入であることは有名だ。2017年10月26日に発表されたAlphabet社(Googleやその他グループ企業の持株会社として設立された企業)の2017年第3四半期(7~9月)の決算を見ると、売上高は前年同期比24%増と大幅アップしている。この好調を支える広告収入にはもちろんYouTubeによるものも含まれており、Googleの売上高はAlphabet全体の約99%を占める。

2017年3月、反社会的な動画に自社の広告が配信されていたことへ反発した大手企業が、次々にYouTubeから広告を引き上げる騒動が起きた。これによりAlphabet社の大幅な収益減が予想されていたのだが、前述の結果を見る限り、結果的に大きな打撃とはならなかったようだ。

Googleはこれまで医療やドローン、自動運転など様々な分野に進出し、投資を続けてきた。その成果として広告以外の売上高も大幅に増えてきたが、今後もしばらくは収益の大部分を広告収入が占める状況は続くだろう。

これまで通り柱の一つとして、加えて日本では提供されていない「YouTube Red」(登録すると広告なしで動画が見れたり、好きな動画をオフライン保存できたりする有料サービス)のような広告以外の収益化を試みる場として、積極的に手を加えられ、進化し続けていくだろう。