北米のスマートホームのショールーム。

 日本では、「スマートホーム」「スマートハウス」というと、HEMS(Home Energy Management System)に代表されるように、家庭内のエネルギー消費をコンピュータやインターネットの技術を使って最適化する形態を指すことが多いようです。ですが、北米で普及段階に入っているスマートホームは、それに留まらず家庭に置かれるさまざまなものインターネットにつながることを前提とした商品が次々と生まれています。

 もちろん、北米でもエネルギーの効率化を実現しているサービス事例もありますが、日本は電気の「見える化」をはじめ、エネルギー利用の効率化を前提とした方向性となっています。それに対して、北米はエネルギー関係に限定しないスマートホームのテクノロジーを発展させ、ビッグデータ分析と自動制御によってエネルギーの効率利用を実現しています。

 例えば、外出を検知したら自動で照明を消し、空調も外気温の実況と天気予報をビッグデータ分析し、自動で無駄のない設定温度に変更する、といった生活シーンが実際に実現しています。

 スマートホームの有効利用は、エネルギーを供給する会社にとっても電力需要の抑制などにも効果を発揮するため、エネルギー供給会社向けのカンファレンスなどでも、ここ数年間、事業者としてのスマートホームの活用、連携といったテーマが主体となっています。

 そこで今回から数回にわたり、この分野で先行している北米の事例を中心にスマートホームが人々の暮らしをどう変えてきているのか、どういった形で普及期に入ってきているのかをご紹介します。

“Connected X”

 欧米では、スマートホームは「Connected Home(コネクテッドホーム)」とも言われており、家(Home)にあるさまざまなもの(Things)がインターネットに接続される(Connected)様を連想させるキーワードが使われています。