(松本 太:日本国際問題研究所プラットフォーム本部長、前駐イラク大使、元駐シリア臨時代理大使) 中東での動乱が続いている。イスラエルとハマスが繰り広げるガザ問題にせよ、レバノンへのイスラエル軍侵攻やシリアでの政権交代にせよ、日本に住んでいれば所詮他人事と思っている方が実は多いのではないか。「やはり中東地域は遠いのだから。おまけに中東での出来事は難しくてよく分からない」と思いつつ。 残念ながら、そうした楽観的な思い込みは早いうちに捨てておいた方がよい。面倒で分かりにくいことは考えないようしようといった世間のムードは、いつも、ある日突然打ち砕かれることになるからだ。 率直に指摘しよう。それは多分に、