「Better Life for All」。これは今からちょうど30年前、南アフリカ全土を揺るがしたネルソン・マンデラの言葉だ。 すべての人々により良い生活を望む権利があることは近代社会では法に定められている。基本的人権だ。私達は人種や宗教やジェンダーで差別されてはならない。内実には疑問もあるが、法の下では平等だ。 しかし、南アフリカではつい30年前の1994年まで、法が人種差別をしていた。肌の色で人間が分けられていた。黒い肌に生まれたというだけで住みたい所にも住めず、職業も限られ、世の中を変えたくても肝心の選挙権がなかった。白い肌の人間が自分たちの都合だけで国を取り仕切っていたのだ。これが30