本書の筆者はジャーナリストでメディア研究者の根岸豊明氏。日本テレビで編成、報道、メディア戦略に従事した後、同社で取締役執行役員、札幌テレビでは社長を務めた。テレビ業界のど真ん中を歩んできた一人と言っていいだろう。 歴史を振り返ると、テレビが日本で放送を開始したのは、今から70年以上も前の1953年のことだ。このころの人気番組はプロレスやプロ野球の中継だった。 当時テレビ受像機は一般家庭には手が出せないほど高価なものだったが、東京都内や近郊53カ所に「街頭テレビ」が設置されており、娯楽に飢えていた人々から爆発的な人気を呼んだ。放送開始前は赤字必至と言われていたテレビ業界だが、その人気ぶりに多数の