徳川家康の家臣のなかで異例の出世を遂げた井伊直政。幼名は虎松、14歳で万千代と名乗り家康に出仕し小姓となる。 22歳で元服。直政と名乗り、旗本先手隊の大将に抜擢される。 戦国の世を天下太平の時代へと導き、江戸幕府を開いた徳川家康。 その幕府成立に貢献した徳川四天王と呼ばれる武将は、酒井忠次、榊原康政、本多忠勝、井伊直政の4人。 直政は30歳にして上野国箕輪(群馬県高崎市)の城主として家臣団の中で最大となる12万石の所領を与えられ家臣筆頭に躍り出た。 同じ四天王の榊原康政や本多忠勝は10万石。直政への家康の厚遇ぶりの理由とは何か。 儒学者・小瀬甫庵の『甫庵太閤記』や国学者・天野信景の随筆集『塩尻