井原西鶴は江戸初期に大流行した通俗小説・浮世草子の第一人者である。愛慾、金銭欲、名誉欲、物欲など人の本質的な「性(さが)」を描く作風で知られる。 西鶴は「人」と「銭(ぜに)」との関係をこう記している。「世に銭ほど、面白きものはなし」「なににつけても金銀なくては世にすめる甲斐なきこと、いまさらいふまでもなし」「その身、働かずして、銭が一文天から降らず、地から湧かず」「人間は欲に手足のついたものぞかし」「憂うる者は富貴にして憂い、楽しむ者は貧にして楽しむ」 男が女を想い、女が男を想う。それは普遍的な事象であるが、恋と愛の違いは何か。「恋には下心があり見返りを期待するが、愛は見返りを求めない」「恋は