『鬼平犯科帳』をはじめ、時代劇の庶民の住宅としてお馴染みなのが長屋だ。町屋敷の表通りに面した場所には表店が建ち並び、その奥に長屋(裏店)があった。表店に住んでいたのは比較的裕福な町人で、一般庶民の多くは通りに面していない長屋(裏店・裏長屋)に住んでいた。 表店と表店の間にある木戸が入り口になっていて、くぐると狭い路地があり、その両側に長屋が並んでいた。長屋には共用のスペースがあり、必ずといってよいほど稲荷の祠が祀られていた。 長屋は個々の家に水道が引かれていなかったので、住人たちは共用のスペースに置かれていた井戸(上水)を利用した。住人は水を汲みに行ったり、井戸の周りで洗濯をしていたが、井戸端に