文=津島千佳 写真=小嶋淑子 でんじろうさんが理科に興味を持ったのは、育った環境が大きかったという。でんじろうさんは、高度経済成長期が始まった1955年生まれ。育った房総半島はまだ高度経済成長の影響が及んでおらず、自然が遊び相手だった。「房総半島は大きな山のない、当時は里山に囲まれた自然豊かな土地でした。道路は砂利道で車が走ると砂ぼこりが立つ、『となりのトトロ』のような世界。川で魚釣りをしたり、田んぼでどじょうをすくったり、山菜を採りに行ったり。星もよく見えて、夏の夜はヘイケボタルを捕まえたりもしていました」 そんな環境だったため、日々接する自然への疑問が湧いてくる。「ワラビとゼンマイってよく似