零下20度の中で味見したマツダ「CX-5」

「圧縮比14」ディーゼルエンジンはどれだけ寒さに強いのか
2013.2.18(月) 両角 岳彦 follow フォロー help フォロー中
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零下20度の夜を、凍りついた雪の駐車場で過ごして朝を迎えたマツダCX-5 XD。背後の宿の壁からぬかびら温泉の湯気が立ち上っている(筆者撮影、以下すべて)。
外皮全体に散った埃(雪道走行だけによるものではない。その詳細は次回に)を核に水蒸気が凝縮・凍結した氷でびっしりと覆われたCX-5のボディ。
プッシュ式のエンジンスタートボタンを押した直後、車両システム起動と同時にグロー作動表示灯(矢印)が点灯。しかしわずか1秒程度で消えてしまう。こうして写真にその点灯状態を写すのも難しいくらいの短さだった。
この朝、エンジン冷間始動直後の外気温「マイナス15度」
エンジン始動直後の車体後端側。排気管から吐き出されるガスはうっすらと白いが、これは燃焼ガスに含まれる水蒸気が凝縮したもので、通常のエンジン排気でもこうなる。ここに鼻を近づけると軽いHC臭はしたが、それも酸化触媒が暖まったところで消え、失火によるHCの白煙はまったく排出されることがなかった。
耐寒試験、そして氷上特設コースでの走り込み、さらにそこに至る東北地方踏破(これについては次回に)を足元で支えてくれたダンロップのスタッドレスタイヤ「GRANDTREK SJ7」。最新のスタッドレスは、手で押しても簡単に変形するような柔らかいゴムと、そのブロックに細かく波打つサイプ(細溝)が連なるトレッドで、雪氷路面をつかむ。
CX-5のエンジンルーム。通常はエンジン上を覆っているスタイリングカバーを外して 「SKYACTIV-D」直列4気筒2.2リットル、SH-VPTS型の本体を見る。写真右側に高圧燃料ポンプがあり、ここで2000気圧(200MPa)にまで加圧された燃料が太い主管から各気筒へと配分される「コモンレール」方式の燃料噴射。その噴射弁(インジェクター)が4つのシリンダーの頂部に直上から挿入され、1回の燃焼で最大5回の噴射を行う。排気は後方に2段に配置されたターボチャージャーに導かれるが、そこに流れる手前から吸気側に戻る管路と冷却器(EGRクーラー)が組み込まれ、排気管から直接と、EGRクーラー通過(より温度が下がる)の2系統を切り替え、混合しながら、吸気(空気)に混入するためのEGRバルブがエンジン前面側に装着されている。
寒冷地始動・暖機の確認後は、今年も厚い氷に覆われた糠平湖上に特設されたハンドリングコース(前日「糠平湖氷上トライアル」開催)で、低温・低μ(ミュー=摩擦係数)でのエンジンの振る舞いとCX-5の運動特性を確かめ、味見した。昨年同じ場所でも体験した従来のマツダ4WD車に比べると、前輪駆動を基本に後輪側へ多板クラッチで駆動トルクを分岐するという基本機構は変わらないが、そのクラッチの締結・開放の変化を抑制して、こうした路面を走る中での挙動変化を滑らかにしようという方向性が明らかに見て取れた。4輪駆動状態での踏破力や、制動力は若干落ちても、様々な路面状況の中でバランスの良い運動特性を作ろうという開発者の意図が伝わってきた。

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