何のための節税か? キャッシュを残すことも大切

 こうした現状の中で、そもそも利益にかかる「法人税等」について、実際にどれくらいが課税されるか把握していない経営者が多いと田中さんは指摘する。

 簡単に説明しておくと、資本金1億円以下のいわゆる中小企業に対する税率は以下の通りになる。読者の皆さんは、どのくらい理解していただろうか。

国税庁資料より。詳しい注釈は以下より。 http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm
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 資本金1億円以下の中小企業の税率は、年間所得800万円以下の金額が15%、年間所得800万円超の金額は23.4%(平成30年4月1日以後開始事業年度は23.2%)。

 中小法人以外の法人の税率は23.4%(平成30年4月1日以後開始事業年度は23.2%)。

 要は年間所得が800万円を超えると、税率が10パーセント近く上がるという点がポイントになるようだ。

「節税というと利益を圧縮するために、経費を増やそうという話になるのですが、経費を増やすには支出も伴うということも考えるべきでしょう」

 田中さんはそう警笛を鳴らす。

「100万円のお金を使って、経費にしたところで減らせた税金は約24万円です。逆に使わないで76万円残しておいたほうが効果的なことも多くあることを考えてほしいのです。どちらが会社に利益をもたらすのかをきちんと見極めるべきだと思います」

 節税に目がいくばかりに、本来の目的である会社の成長が疎かになる。単純なことだが、見落としがちなのだそうだ。

 田中さんは、そうした風潮に対して、もう一度、税金にまつわる正しい理解が必要だろうと言う。

 では、具体的にどうしていくべきか。次回はいくつかのポイントを紹介する。