夕飯時、何気なく家族に聞いた「ご飯いる?」。こちらとしては「炊いたお米」を食べるかどうかを聞いたのに、「え? 今日外食するって言っていないよ」と返ってきた。これは「ご飯」に「炊いたお米」の意味と、単に「食事」としての2つの意味があるために起こったすれ違いだ。 このように、1つの単語に全体を表す意味と部分や一部の概念を表す意味の両方を持たせることを「提喩(ていゆ、シネクドキ)」と言うらしい。 言葉とは難しいもので、日々の会話でも気がつかないうちに誤解が生じているかもしれない。言語学者・作家の川添愛氏は近著『世にもあいまいなことばの秘密』(ちくまプリマー新書)でこう言っている。 先の会話を例に取る