注目されていた台湾総統選挙が終わった。国際政治を俯瞰する研究に努めて来た筆者にとっては、選挙結果そのものを分析することよりも、その影響、すなわち、武力統一の選択肢を排除していない中国の対台湾政策や米中関係がどうなるかを分析することの方が重要である。本稿は、そのための一考察である。 さて、4年ぶりの総統選挙では、選挙前の世論調査の結果通り、民進党主席の頼清徳氏(現副総統)が当選した。中国が「分離主義者」と名指しで非難していた人物である。従って、この結果は、中国の武力統一への意思を強め、台湾海峡の緊張をさらに高めるのではないかとの懸念を惹起する。 結論的に言えば、筆者は、今回の総統選挙の結果によっ
総統選後の台湾海峡では「戦争でも平和でもない」グレーゾーンの事態が続く
東大名誉教授の小原雅博氏が解説する台湾海峡の行方
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