終わりが見えないウクライナ戦争。その実態を取材するため、10月下旬、激戦が続くウクライナの前線を訪ねた。 前線取材のなかで私が驚いたことの一つは、砲弾がいつ落ちてくるかわからない危険な土地に今もなお多くの人々が暮らす現実だった。 ウクライナ南部ザポリージャ州。ロシア軍との一進一退の激しい戦いが続く最前線から6キロの地点にフリアポレという町がある。砲弾が直撃したのか、鉄骨がむき出しになった集合住宅、ドアや窓が爆風で吹き飛ばされた商店が道路沿いに並ぶ。ロシア軍の砲爆撃で町の建物の半数が破壊され、いたるところががれきの山だ。 この日は冷たい雨が降っていた。砲撃音がとぎれぬ町の通りに人影が見えた。雨合