ベン・バーナンキ氏は米連邦準備理事会(FRB)の理事として初めて行った講演で、複雑な論題を説明するためにシンプルな格言を引いた。 その論題とは、中央銀行はバブル気味の市場を制御するために金融政策を用いるべきか――例えば、不動産バブル沈静化のために利上げをしてもよいのか――というものだった。 バーナンキ氏の答えは、FRBは「その仕事にふさわしいツール(道具)を使うべきだ」というものだった。 金融の問題では規制や貸し出しの権限に頼り、金利の操作は物価の安定など経済面の目標のために取っておくべきだと主張した。 それから20年経った今、バーナンキ氏のドクトリンは反対方向で――バブル気味ではなく、疲れて