本稿は、企業の「働きがい」に関する調査・研究を行う「Great Place To Work® Institute Japan」代表の荒川陽子氏の著書『働きたくなる職場のつくり方』(かんき出版)から一部を抜粋・編集してお届けします。

 後編では、特に「ライフイベントと仕事の両立」という問題を紐解きながら、「ジェンダー平等で働きたくなる職場」をつくるための5つのポイントを解説します。

■前編 なぜ、多様性のある職場が求められるのか
■後編 ジェンダー平等の働きたくなる職場(今回)


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数字と事例で見る女性の働きにくさ

 次は職場におけるジェンダー平等に焦点を当てます。特に「ライフイベントと仕事の両立」という問題について見ていきましょう。そもそも働きやすい職場とは、性別に関係なく「全ての人が働きやすいと感じる職場」であるはずです。

 しかしながら日本の場合、女性の社会進出という点で、諸外国に大幅に遅れを取っています。政府は女性管理職の割合を2020年代の可能な限り早期に30%程度になることを目標に掲げており、多くの企業が子育てと仕事との両立をさせやすいように、制度を整えている過渡期にあります。

■ ジェンダー平等に立ちはだかる「見えない壁」

「性別に関係なく、正当に扱われる」というカルチャーがあることも重要です。次のような状況では、ジェンダー平等とは言えません。

男性同士のグループがあり、認められることが昇進の隠れた条件
社外にアピールするために、女性を管理職になりやすくする

 ただし、男女共に全ての人が管理職として働きたいと考えているわけではないことを強調しておきます。「子どもができたら、小学校受験や中学校受験などのイベントも視野に入れて子育てをしていきたいため、プライベートな時間を増やしたい。仕事はほどほどでいい」、と考える従業員も存在します。

 企業によっては、そのようなワークライフバランスを望む従業員が主流の場合もあるでしょう。ですから、会社側が働き方を押し付けないことも大切です。

「子どもが生まれてもバリバリ働きたい従業員」には、両立を最大限に支援し、「ライフイベントの変化に応じて働くことをセーブしたい従業員」には、その意向を尊重する。経営・管理者にはそのような姿勢が求められます。