労働者と競合するか? RPAがもたらすものとは

RPAは仕事を奪うのか、新しい仕事を生むのか

松ヶ枝 優佳/2019.2.4

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RPAの導入によるメリットとは

 政府主導で働き方改革が進められる中、多くの企業が自社の生産性を向上させるため、ICT分野への投資を強化している。中でも、ホワイトカラーの定型業務を自動化する「RPA」は、IoTやAIといった他のICT技術よりも導入の目的や成果が分かりやすいこともあり、急速に普及が進んでいる。

 今回はこのRPAについて、具体的に何をできるようにするものなのか、各業界の導入事例を中心に見ていこう。

いま話題の「RPA」とは

 RPAとは「Robotic Process Automation」の略語で、一言でいえばロボットにホワイトカラーのデスクワーク業務を代行させる取り組みを指す。ロボットといっても産業用ロボットとは異なり、基本的にはソフトウェアとしてパソコン等に導入される。「仮想知的労働者」を意味する「デジタルレイバー(Digital Labor)」という言葉で呼ばれることもあり、様々な業務プロセスの自動化を行っている。

 従来の「自動化」へのアプローチと違い、高度なITスキルや専門知識を持たない従業員でも直感的に使用できるのも特徴の一つ。具体的には顧客データの管理やデータ入力、伝票作成やダイレクトメールの発送といったごく一般的な業務に適用できるため、実用度が高い。

 また、RPAは機能や作業レベルの難度に応じて、以下の3段階のクラスに分けられる。

●クラス1「RPA(Robotic Process Automation)」
入力作業や検証作業など、定型的な作業の自動化が可能。

●クラス2「EPA(Enhanced Process Automation)」
AI技術との連携により、画像解析や機械学習等ができるようになる。ビッグデータの解析等、一部非定型作業の自動化に対応。

●クラス3「CA(Cognitive Automation)」
情報の整理や分析の自動化に加え、意思決定まで行うことが可能。

 指示された作業を忠実にこなすのがクラス1。クラス2・クラス3は導入コストや運用コストこそ増加するものの、AIとの組み合わせによってより高度かつ複雑な作業を自動化できるようになる。現在のRPAツールは大半がクラス1に相当するが、普及の背景を鑑みると徐々にクラス2・クラス3が主流になっていくだろう。

 次に、実際にRPAツールを導入している企業の割合や市場規模について見ていこう。2017年10月12日に発表されたガートナー ジャパンのRPAに関する調査結果によると、国内では14.1%の企業が既に導入済み、6.3%が導入中、19.1%が導入予定・導入を検討中。これだけ見ると、まだ「大半の企業が使っている」とは言えないだろう。

 しかし、2018年10月25日にアイ・ティ・アールが発表した「国内のRPA市場規模推移および予測」によれば、2017年度のRPA市場は売上金額35億円で、前年度比約4.4倍。2018年度も同2.5倍の高い伸びが期待されている。さらに、導入単価の下落が進みつつあるものの市場参入ベンダーが拡大していることから、2022年度には400億円市場に成長すると予測されている。同発表によると、2017年度は「それまで金融・保険業など一部の業種で先行していたRPAツール導入の動きが、他業種へも広がった年」であり、2018年度は「試行段階にある企業での本格稼働が進むことから、市場規模は大きく拡大し、この高い成長率は2020年度まで続く」とされている。数年後には、何らかのRPAツールが導入されているのが企業にとって「当たり前」になっていくはずだ。

 国内でRPA市場の拡大が予測されている背景には、冒頭で触れた「働き方改革」や少子高齢化による労働力の減少がある。また、工場のラインなどに積極的に自動化の仕組みを取り入れることで一定の成果を収めている製造業での知見を、今度はデスクワークに活かせないか、という機運が高まっていることも理由に挙げられるだろう。