これまで4回にわたり、無線センサーネットワーク技術LPWA(Low Power Wide Area)の概要と、さまざまな仕様の特徴を説明してきた。
(バックナンバー)
新しい無線技術LPWAがなぜ注目されるのか?
2014年から2017年はLPWAの「黎明期」で、独自仕様LPWAの先行組であるLoRa(ローラ)とSigfox(シグフォックス)がサービスで先行し、技術開発や市場開拓が進んできた。
2018年現在、LoRaとSigfoxの後を追う形で、ソニー製LPWAなど後発組の独自仕様LPWAや、第4世代(4G)携帯電話網を生かしたLTE版LPWAの開発とサービス化が急ピッチで進んでいる。これから2020年までの3年間はLPWAの「成長期」に位置付けられよう。
そして2021年以降は、規格の淘汰が徐々に進み、一方でLPWAの応用が幅広い分野で拡大する「普及期」に入っていく。
いくつもの規格が策定されているのは、用途によって必要な仕様が少しずつ違うからだ。最も大きな要素が通信速度と通信料金で、高い通信速度を求めると通信料金も高くなる傾向がある。すでに実サービスが始まっている独自仕様LPWAのLoRaとSigfox、そしてLTE版LPWAのLTE-M(eMTC)とNB-IoTについて、大まかな位置付けを示したのが図1だ。ただし、ここに示した通信速度や通信料金はどちらも一例である。
図1に示した4つの規格は、現段階で有力と言えるものだが、今後の実証実験の結果などによっては、別の規格も有力な選択肢となり得る。ここでは、今後とくに国内での動きが活発になりそうな「FlexNet」、「RPMA」、「IEEE 802.15.4k(LECIM:Low Energy, Critical Infrastructure Monitoring Networks)」という3つの規格について簡単に特徴をおさえておく。