(1)RPMA
 仏Ingenu(2016年にOn-Ramp Wirelessから社名変更)が開発した。第3世代(3G)携帯電話網に用いられた「CDMA(Code Division Multiple Access)」を基にした通信方式を採用しており、CDMAと同じく電波干渉に強く通信のパケットロス率が低い、すなわち通信の信頼性が高いという特徴がある。

 米国では電力用のスマートメータリングに使われている。国内でもマンションにおける電力用のスマートメータリングで採用実績がある。ただし、RPMAで使用する2.4GHzは通信の長距離化や省電力が難しい。

(2)FlexNet
 米Sensusが開発した。第2世代(2G)携帯電話網以前のポケットベルの通信方式を基にIPv6への対応を図ったほか、双方向通信によるセンターからのメーター操作や、センサーを稼働させながらソフトウエアを更新する「FOTA(Firmware On/Over The Air)」を可能にしている。1つのデバイスのデータを複数の基地局で同時受信するマクロダイバーシティや、256ビットAES(Advanced Encryption Standard)による暗号化を採用するなど高い信頼性と安全性を実現した。

 米国と英国では水道と電力、ガスのスマートメータリングで多くの実績がある。国内では神戸市水道局が、2015年に水道のスマートメータリングの実証を開始したのに続き、2017年からは工業用水の検針から料金調定までの実運用を想定した実証実験を進めている。普及には、280MHzの電波を制約なく使えることが欠かせない。

(3)IEEE 802.15.4k(LECIM)
 米電気電子学会(IEEE)のワーキンググループ「IEEE 802.15.4 WG」が、スマートグリッドのニーズが高まった2010年頃に検討を始め、2013年に物理層として標準化した。通信速度は40k~100kbps、通信距離は最大15㎞を目標とし、2.4GHzとサブギガ帯(国内では920MHz)の使用を想定している。CDMAで使われた「DSSS(Direct Sequence Spread Spectrum)」と呼ぶ電波の拡散方式により、干渉に強い無線センサーネットワークを実現する。

 国内ではラピスセミコンダクタが、2.4GHzの無線LSIをすでに製品化している。実用化の勢いを得るには、他の規格に対抗するために通信の長距離化や省電力化を可能にする920MHzの無線チップモジュールの早期開発と提供が求められる。

性能や機能の面で規格のすみ分けが進む

 このように、今後3年間ぐらいのLPWAの成長期では、規格が乱立した状態が続くだろう。その後普及期に入る2021年以降、LPWAが産業や社会に浸透すると、仕事や生活のいろいろな場面で、当たり前のようにIoT関連のサービスがみられるようになる。その過程で、LPWAの規格は、アプリケーションに求められる性能、機能、価格などによって次第にすみ分けが進むと考えられる。その大まかなイメージを図2に示す。

図2 LPWA規格のすみ分けイメージ