現在公開中の映画『イーグル・アイ』のプロモーションでは、従来の紙による販促フライヤー(映画宣伝用のチラシ)に加えて、PDF版フライヤーを制作・配布するという新たな試みが行われた。Flash動画やゲーム、クイズなどを1つのPDFファイルに組み込んだこの画期的なフライヤーを生み出したのが、アドビ システムズの「Adobe Acrobat 9 Pro Extended」だ。このソフトは、単なるPDF作成にとどまらず、実はビジネスのコラボレーション効果を高めるための機能を豊富に備えている。
Flash動画による予告編などを組み込んだ映画『イーグル・アイ』の販促フライヤー。画面上のアイコンで「3秒ジャストでクリック」という“ミッション”をクリアすれば、「Adobe Acrobat 9」の最上位版や地デジ対応PCなどの豪華プレゼントを手にするチャンスが与えられるゲームも用意されている。
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映画『イーグル・アイ』の宣伝プロモーションの一環として、角川エンタテインメントが制作したPDF版の販促フライヤーは、文章や画像だけでなく、Flash動画による予告編やゲーム・クイズなどが1つのPDFファイルに盛り込まれている。クリック1つで簡単に映画の予告編が見られるなど、従来の販促フライヤーのイメージを一新する仕上がりとなっている。
この販促フライヤー制作にあたり、同社が使用したのが、アドビ システムズの「Adobe Acrobat 9」だ。AcrobatシリーズはPDF作成ツールとして知られるが、この最新版では、文書や画像、動画や3Dデータなど、様々な種類のデータを1つのPDFファイルに組み込むことが可能となっている。このことが、いかに劇的なプレゼンテーション効果をもたらすかについては、過去2回にわたって本欄で紹介してきた。
だが、Acrobat 9の底力はそれだけではない。このソフトは、それ以外にも、ビジネスを飛躍的にパワーアップする様々な機能を備えている。中でも特に、ビジネスリーダーの業務の効率化に貢献すると思われるのが、チームのコミュニケーション力を強化するAcrobat 9の新機能だ。
今回は、PDFを活用したビジネスのコラボレーションについて紹介したい。
近年、ビジネスの現場では情報のデジタル化が進み、さらに通信ネットワークの進展により、コミュニケーションのあり方が根本から変わった。だが、チームの情報共有に関するかぎり、デジタル化の恩恵が十分に活かされているとは言いがたいのも事実である。
たとえば、企画書や報告書などの社内文書を作成するときには、提出前に複数のチームメンバーのレビュー(内容チェックとコメント付与)が必要となるケースも多い。しかし、業務多忙の折から、メンバー間の文書回覧に時間がかかり、結局、レビューが不十分なまま文書を提出してしまった、という経験はないだろうか。Wordなどで作成したファイルをメンバーで回覧しているうちに、各人が好き勝手に修正してしまい、様々な修正が入ったファイルが複数出現し、どれが最終版なのかわからなくなった、ということも少なくないだろう。
また、販促チラシなどのプロモーションツールやカタログの制作にあたっては、社内の複数の担当者や担当部門による校正が必要となることが多い。そんなとき、各担当者に校正刷りを渡し、戻ってきた校正をとりまとめて制作会社や印刷業者に渡すまでには、大変な時間と手間がかかる。各担当者が入れた修正を転記する作業の負荷も大きく、納期遅れや校正ミスの発生、人件費の増加の原因となっている。
たとえ情報をデジタル化したとしても、チーム内でのレビュー作業が無秩序に行われていたり、紙ベースの部分が残っていては、情報共有やコミュニケーションの効率化を図ることは難しい。そんなときに役立つのが、Acrobat 9の共有レビュー機能である。
Acrobatを使用すると、紙にメモをする感覚で、PDF文書にコメントを書き込み、そのコメントを担当者全員で共有することができる。これを実現するのが共有レビュー機能だ。時間と場所に制約されず、いつでも好きなときにコメントを書き込めるので、紙文書を回覧するときのような待ち時間も発生しない。また、すべての担当者のコメントが1つのPDFファイルに集約されるので、校正の転記作業自体が不要となり、校正ミスや残業コストも減らすことができる。
つまり、共有レビューを活用すれば、文書のレビューや校正にかかる作業負荷とコストを大きく削減することができるのだ。
加えて、共有レビュー機能を使えば、「いつ、誰が、どのようなコメントを書いたか」を参照できるので、PDFをベースに活発な意見交換を行うことが可能となる。
また、改訂後の文書の変更内容をスピーディに確認できるよう、異なるバージョンの文書を比較して結果をハイライト表示する機能も用意されている。
さらに、制作物や文書の内容を緊急に確認しなければならないようなときも、チームのメンバーがPC画面で同一の内容を確認しながら、PDF上でリアルタイムのライブチャットを行うことができる。これがライブコラボレーション機能だ。PDF画面を共有しながら「打ち合わせ」できるので、遠隔地から会議室に駆けつける必要もない。
円滑かつ迅速なコミュニケーションを実現する、Acrobat 9のコラボレーション機能。チームの情報共有とコミュニケーション力の強化を図るツールとして、試してみる価値はあるだろう。
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