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PDF活用で実践する創造的仕事法

複数ファイルをすっきり一元化

10月18日公開の映画『イーグル・アイ』のプロモーションで新たな試みが行われている。映画の内容を紹介する販促フライヤー(チラシ)を、通常の紙のものに加えて、PDF版も制作したのだ。Flash動画やクイズ、ゲームなどを1つのPDFファイル上に組み込み、紙ではできない豊かな表現や新たな流通方法を実現。形式の異なるファイルをひとまとめにしたこのPDF版の販促フライヤーには、ビジネスパーソンが日常業務を行う上でも役立つ貴重なヒントが多く隠されている。

映画の販促フライヤーで予告編が見られる

10月18日公開の映画『イーグル・アイ』(スティーブン・スピルバーグ製作総指揮、D・J・カルーソ監督)は、現代世界におけるテクノロジーの脅威を描いたアクション娯楽大作。公開に先立ち、配給を行う角川エンタテインメントでは、様々な宣伝プロモーション活動を展開中だ。中でも今回初の試みとなったのが、「Adobe Acrobat 9」で作成した電子的なPDF版販促フライヤーである*

PDFといえば、PCの機種やOS、アプリケーションの種類に関係なく広く文書を閲覧できるものとしてすっかりおなじみだが、今回のフライヤーでは、Acrobat 9の新機能をフルに活用し、Flash動画やクイズ、ゲームなどもPDFに盛り込んだ。これにより、従来にない革新的な販促ツールが実現できた、と同社ドリームワークス劇場宣伝グループの岡ゆかり氏は語る。
「『PDFでFlash動画を見せられる』というのは、私自身も驚きでした。その意味では、フライヤーというよりもWebサイトをつくったような感覚です。見る人は、Webサイトから簡単にダウンロードでき、自宅のPCでインタラクティブにコンテンツを楽しめます。従来のフライヤーの概念を一新した新しいメディアができたと思っています」

*:Adobe Acrobat 9 Pro Extendedを使用

宣伝用素材もPDFでまとめて配布

通常の映画プロモーションでは、販促フライヤーを作成して映画館などに配布し、予告編上映をスタート。雑誌やインターネットなどのメディア向けに宣伝用資料を配布し、最後に広告メディアで一気に盛り上げる戦略がとられることが多いという。PDF版のフライヤーを制作したことで、このプロセスも効率的に複合させることに成功した。

今回制作したフライヤーの最大の特徴は、やはり、PDF上でクリックするだけで、約30秒の映画の予告編が手軽に見られる点だ。さらに、クイズやゲームをインタラクティブに楽しみながら、映画鑑賞券などのプレゼント企画に応募できる機能も盛り込まれている。また、これとは別に「プレス向け」のPDF版フライヤーも制作。こちらでは、メディア掲載用の写真や映画のタイトルロゴなど、宣伝用素材も1つのPDFの中にまとまっている。

「これまでプロモーション用の素材は、資料は紙で、予告編はCD-ROMや試写会で、写真はマスコミ向け写真サーバーからダウンロードといった具合に、すべての素材がバラバラに分かれているのが実情でした。また、映画プロモーションでは実際に映像を見てもらうのがベストなのですが、マスコミの方は忙しいので、CD-ROMを渡しても見てもらえないこともあります。しかし今回のPDFの販促フライヤーなら、画面をクリックするだけで予告編を手軽に見てもらうことができます。PDF上ですべての宣伝用素材をひとまとめにして配布できるという点でも、非常に効果的だと思います」

動画や3D画像も組み込めるPDFポートフォリオ機能

角川エンタテインメント
ドリームワークス劇場宣伝グループ
岡ゆかり氏
角川エンタテインメント
ドリームワークス劇場宣伝グループ
岡ゆかり氏

PDFの作成には、アドビ システムズが提供する「Adobe Acrobat」が必要だが、今回のフライヤー作成に当たっては、7月にリリースされたばかりの最新版「Adobe Acrobat 9」を活用。Flash動画やクイズ、ゲームなどの機能を多彩に盛り込むことで、従来のPDFのイメージを根底から覆すほどのインパクトをもたらすことが可能となった。

その基盤ともなったのが、「Acrobat 9」のPDFポートフォリオ機能だ。これは、様々なフォーマットのデータを1つのPDFポートフォリオにまとめて、表現力や訴求力に優れた資料を作成できるというもの。エンタテインメント用途やデザイン用途などに限らず、様々なビジネスシーンで幅広く活用することができる。

たとえば、日常業務ではWord文書からjpg画像やビデオ、CADの3D画像に至るまで、多様なタイプのデータが発生する。企画書や提案書、報告書などを作成する際、商品の使用法を動画で説明したり、デザインイメージを3D画像で示したりすることができれば、資料のインパクトは格段に増すことだろう。

そんなとき、「Acrobat 9」を利用すれば、文書や画像から電子メール、Webページ、ビデオ映像や3D画像に至るまで、異なるフォーマットのデータを1つのコンパクトなPDFポートフォリオにまとめることができる。簡単な操作により、従来とは一線を画したビジュアルでわかりやすい資料を手軽に作ることができるのだ。

さらに、資料配布の効率化という点でも効果は大きい。電子メールに様々な形式のファイルを添付して配信すると、各ファイルの内容確認に時間がかかり、受信者のビジネス効率を下げることにつながりかねない。そんなときも、PDFポートフォリオ機能により資料をひとまとめにすれば、閲覧しやすく、社内の情報共有という点でも大幅な効率アップが期待できる。

なお、「Acrobat 9」で作成したPDFは、無償の「Adobe Reader 9」さえあれば閲覧できる。従来のPDFのイメージを一新し、大きな進化を遂げた「Acrobat 9」。ビジネスを飛躍的にパワーアップするツールとして、試してみる価値はありそうだ。