久しぶりに、宇和島城に会いたくなった。 宇和島は、遠い。朝、新横浜から新幹線に乗って、岡山で特急「しおかぜ」に、松山で「宇和海」に乗り継いで、着けばもう夕方である。飛行機で松山まで行けば、もう少し早いのかもしれない。でも、「遠さ」を実感してみたかったので、あえて鉄道を選択する。距離を時間として浪費するのは、「大人の贅沢」なのである。 近世城郭としての宇和島城を築いたのは、豊臣秀吉から7万石を与えられて当地に入部した藤堂高虎だが、城と街を今見る形に整えたのは、伊達秀宗にはじまる宇和島伊達家である。 秀宗は伊達政宗の長子ではあったが、妾腹のため本家の家督は嗣がず、大坂の陣ののち幕府から10万石を与