あの歴史人物は、実はこんなパーソナリティーを持っていたのではないか。従来とは異なる人物のイメージが打ち出されたりするのが、歴史ドラマの面白いところだ。特に1年と長期にわたって放送されるNHK大河ドラマでは、主人公のみならず周辺の人物のキャラクターも深掘りされるので、見応えがある。『光る君へ』では、藤原道長が父・兼家の五男として生まれて出世の見込みがもともと薄かったことや、兄たちの相次ぐ死によってたまたま政権が転がり込むという幸運さに注目。青年時代の道長を「出世とは縁遠いぼんやりとした人物」として描き、そこから最高権力者となるプロセスを丁寧に描写してきた。 それも荒唐無稽なものではなく、藤原実資