7月31日に行われた日銀のわずか+15bpの利上げを契機として、日本の金融市場は歴史的に残る大荒れの様相を呈した。議論すべきことはたくさんあるが、まずは今回と次回の2回に分けて、筆者なりの為替市場に対する所感を示しておきたい。 金融市場では、今回の大混乱について「円キャリー取引を背景とする円安バブルが崩壊した」という解説が支配的になっているようだ。しかし、これについて筆者は小さくない違和感を覚えている。「円キャリー取引を背景とする円安バブル」というのは、具体的には「低金利の円を起点として世界の資産価格が支えられていた」という趣旨だが、今回の大混乱があってから急に目にするようになった印象が強い。