犬山城天守の最上階で、まず気付いてほしいのは、廻り縁を一周すると、とても怖いことだ。実際、腰の引けている観光客が多い。 怖い理由の一つは、高欄(バルコニーの手すり)が低いためである。天守はもともと娯楽遊興施設ではないので、安全性に配慮したデザインにはなっていないのだ。怖い理由のもう一つは、廻り縁の床が外側に向かって少し傾斜しているためだ。といっても、築年数が古くて傾いているのではなく、雨が降ったときの排水のためである。 次に気付いてほしいのは、最上階の南北両面の壁に設けられた華頭窓。この華頭窓、近くで見てみると、白壁に木枠を取り付けただけの「なんちゃって窓」なのである。要するに、デザイン上のア