物語を通じて、登場人物たちの成長をいかに描くかが、ドラマのシナリオにおいては非常に重要となる。その点、『光る君へ』は、登場人物の心境の変化が丁寧に描かれているように思う。 今回の放送では、藤原道兼が兄の道隆から関白の座を引き継いだ途端に病死してしまう。道兼が早々に亡くなり、「七日関白」に終わることは史実として分かってはいたが、まさか道兼の死にこれほど心を揺さぶられるとは想像もしなかった。 第1話のラストで「まひろの母を殺す」という衝撃的な展開で視聴者を惹きつけて以来、その犯人である道兼への許しがたい怒りの感情は、いつしか「父の兼家に気に入られようと必死なんだ」という哀れみの気持ちに変わり、さら