英国の経済学者、J・M・ケインズは、1930年代に世界経済を混乱に陥らせた大恐慌に対する処方箋として、財政政策(インフラ等への政府投資)と金融政策(利子率の引き下げ)を取り混ぜて需要を刺激するよう求めました。その考えをまとめた『雇用・利子および貨幣の一般理論』は戦後、資本主義国における経済政策のバイブルとなりました。 しかし、そこには副作用があります。 民主主義体制下で経済が低迷すると、為政者は選挙民を意識して、景気を回復させようと財政を拡大し、中央銀行も金利を下げて後押しすることになりやすくなったのです。2008年のリーマンショックや、20年のコロナ禍に際し、各国が打ち出した政策も、国債増発