本書の筆者・福永耕太郎氏が電通に入社したのはバブルの少し前のことだった。当時プッシュホン式の電話が普及し始めていたにもかかわらず、オフィスにあるのはダイヤル式の黒電話だけ。その意外な理由が判明した配属初日の光景を、筆者は以下のように振り返っている。 福永氏が入社したのはパソコンもまだない時代。書類の作成は全て手作業だった。誤字脱字などのミスがあると上司から顔に目がけて書類の束を投げつけられ、徹夜してでも全部見直して修正するよう指示される。さらに月末には何百枚もの手書きの請求書を徹夜で作成。職場は戦場だったと福永氏は語っている。 入社して数年が経つと、日本はバブルに突入。福永氏は毎日明け方にタク