本連載でこれまでも書いてきたように、大河ドラマの見どころの一つは、これまであまり知られてこなかった人物にスポットライトが当てられることだ。その典型的な例が、「主要人物の家族」だろう。 大河ドラマは1年と長期にわたって放送されるため、主要人物は幼少期から描かれて、おのずと家族が登場することになる。 例えば、2021年放送の『青天を衝け』では、幕末から明治にかけて活躍し、「資本主義の父」と呼ばれた実業家の渋沢栄一を吉沢亮が好演。栄一の母・ゑいを和久井映見が、父の市郎右衛門を小林薫が演じた。農民の子として生まれた栄一の成長を、時には不安や戸惑いを覚えながらも、信じて見守る父母の姿が印象的だった。 栄