(前回から続く)旧式レンズを使って古城っぽい写真を撮る、という行為は、そんなにロマンチックではない。何せ、半世紀近くも前に作られたレンズだから、ピント合わせはもちろん手動。ファインダーを覗きながら、自分の指でヘリコイド(ピントリング)を回さなくてはならないが、金属鏡筒のひんやりした感触が、冬の信州では指先にしみる。  43〜86mmをDfと組み合わせた場合、露出は一応、絞り優先オートが使えることになっている。ただし、精度は期待できないから、撮影画像をいちいち確認しながらコマメに露出補正をかける。昔の大砲で、一発ずつ弾着を見ながら照準を修正する、みたいな撮り方だ。要するに、手間がかかって面倒くさい